地域おこし協力隊はなんのために必要なのか。目的をわかりやすく明確に共有を。
2018/07/03
前回のブログで秋吉直樹さんのブログ記事を紹介させてもらった。
なんのための地域おこし協力隊なのか。
地域おこし協力隊を導入するだけで終わらずに、そこからの地域への道筋、面倒見役、口利き役など、自治体の職員さんが自ら地域との繋がりが薄いからこそ出来ないのではないだろうか。と、思うこともある。
先日のまとめ役の方との話の中でもそんな話題になった。
昔はパソコンもなければ携帯電話もなかった。地域住民や職場仲間と話したり、連絡をとりたいという時は、電話(黒電話)か、直接行かなければならなかった。
今の市役所に行っても、なんだか小声で話さなければならない雰囲気で陰湿な感じがする。
昔は誰にでも自分のことを聞かれてもおかまいなしで地域住民も役場の人も繋がりが深かったように思う。
最近じゃ役場の人も地域行事に顔もださなくなった。
仙北市は平成の大合併で角館町、田沢湖町、西木村が統合された市。
その合併に伴い、目にはみえない地域の壁のようなものができた。
役場の中にもそれはいえる。
地域と役場との繋がりがそれにより、少しづつ薄くなってきたのではないだろうか。
紹介させてもらった記事には続きがある。
どうして導入目的を明確化できないのか?
「何のために地域おこし協力隊を導入するのか?」本来は明確になっているべきことだ。
しかし、現実はなかなかそのようにはいかない。
ほとんどの地域の場合、導入の事前に十分な議論がされておらず、地域おこし協力隊に「何のために、どんなことをしてもらうのか」が曖昧なまま導入している。
首長や議会から追求されたからという理由で導入せざるを得ず、ほとんど事前の議論がなされていないということもある。
そのため、いざ地域おこし協力隊が着任すると、地域おこし協力隊に具体的なミッションやビジョンが用意されておらず、「とりあえず地域の中に入って課題を見つけてください」という付け焼き刃的な発想しか出てこない。
貴重な1年という時間を平気で消化してしまうことになるのだ。
地域おこし協力隊を導入するにあたって、事前にその目的をキチンと考えるべきなのだが、多くの地域ではそれが実現されないのはどうしてだろうか。
「地域おこし協力隊を導入すること自体が目的化してしまっているから」ということが、大きな理由の1つだろう。
自治体の中で地域おこし協力隊を担当する課は政策課や企画課であることが多い。
総合計画や各種政策を担当している非常に忙しい部署だ。
日々、たくさんの業務がある中で、新たな事業として、地域おこし協力隊を導入するまでのプロセス(ビジョン設定や課題選定、ミッション設定を経ること)を丁寧に実施していくことは確かに厳しい。
加えて、地域おこし協力隊を導入に係る準備も、予算の確保や住宅の用意、雇用関係の調整など、非常に多様である。
どうしても準備を上手くこなして、滞りなく導入することがいつの間にか目的にすり替わってしまう。
こうして、地域おこし協力隊の本来の目的はおざなりになっていく。
ここまでの流れを呼んだ方の中には「では、そもそもどうして導入しようと思ったのか?」という疑問に感じる方もいるだろう。
自治体の中には、「とにかく導入すれば、地域おこし協力隊が何とかしてくれる」と信じていた方もいるし、「そこまで深く考えていなかった」という方もいる。
「首長(又は議会)からのトップダウンで支持されたので導入しました」
「隣町で導入して評判が良かったので導入しました」
まさかこうした言葉が直接自治体担当者の口からは出てこないが、こうした言葉が風の噂で筆者の耳に届いたことは1度や2度ではないことは事実である。
ビジョン設定▶︎課題選定▶︎ミッション設定は理想論!?
地域おこし協力隊は地域課題を解決するためのツールである。
事前に解決したい課題(=目的)ありきで導入を検討していくのが最も望ましいプロセスであることには間違いないのだが、実際にこうしたプロセスに沿って導入を進めている自治体はほとんどない。
なぜなら、日頃から地域住民からの声を、地域課題として汲み上げる仕組みを持っている自治体が少ないからだ。
パブリックコメントや意見箱のようなものを利用して住民の声を吸い上げる仕組みを採用している自治体は多いが、そうした意見を地域住民とともに議論し、ともに解決策を見つけ出すプロセスを採用している自治体はほとんどないだろう。
つまり、地域おこし協力隊を導入するにあたって最も望ましいプロセスに沿って導入を検討していける準備ができている自治体が、そもそもほとんどないということになる。
ほとんどの自治体で地域おこし協力隊を導入するということが前提で、そこから地域おこし協力隊に何をしてもらおうという発想が展開されるのだ。
ここまで読んでいただいた自治体職員の方からは「常に地域住民からの声を吸い上げて、議論する仕組みを運用するなんて、現実的じゃない!」という心の叫びが聞こえてきそうだが、ごもっともな意見である。
前述したとおり、自治体の業務は多岐にわたり、非常に忙しい。
こうした仕組みの運営をさらに上乗せするのは現実的な発想とはいえない。
つまり、事前に解決したい課題(=目的)が明確になっている状態から、ツールとして地域おこし協力隊を選択し、導入を検討するというプロセスは理想論に近いと言わざるを得ない。
再度地域課題を見つめ直すチャンス
では、現実的であり、且つ地域課題解決のためのツールとして地域おこし協力隊をしっかりと機能させるための導入プロセスとはどんな方法があるのだろうか。
それは「地域おこし協力隊導入を契機に、改めて地域住民と地域課題を見つめ直し、地域課題解決のための道筋を考える」という方法である。
つまり、例え、地域との十分な議論を経るよりも前に、地域おこし協力隊の導入が検討され始めた場合でも、その時点からしっかりと地域と向き合い、地域課題を精査し解決方法やビジョンを明確にしていくことで、地域おこし協力隊を機能させることは十分に可能であるということだ。
さらに、こうしたきっかけをつくること自体も地域おこし協力隊の十分な存在意義の1つであると考えている。
地域の最大の敵“思考停止”を突破できる存在
地域は絶え間なく積み重ねられて来た時間の上に成り立っている。
そうした時間の中で、地域住民は皆で支え合い、様々な地域課題と向き合い、それを克服してきた。
しかし、次第にそうした地域課題に取り組む人材が減り、地域課題に積極的に取り組むいわゆる“地域の担い手”の不足・固定化が進んだ。
そうした流れが地域の“あきらめ感”を創出し、地域が前に進むための推進力を低下させていった。
“地域の担い手不足・固定化”や“あきらめ感”が引き起こすのは、地域の“思考停止”である。
すでにある地域資源や枠組みの中でしか物事を考えられなくなり、次第に地域課題を解決するための発想力がやせ細っていく。
そして、考えることを辞めてしまった地域は、静かに消滅を待つのみである。
程度の差はあれど、こうした状態に進みつつある地域は少なくないのではないだろうか。
しかし、こうした重苦しい地域の現状を打破できるポテンシャルを秘めているのが地域おこし協力隊だ。
これまで地域には無かった人材、その人が持つ発想力・ネットワークを取り入れながら地域課題に取り組む体制を整え直すことができるのである。
そして、最大のメリットは、これまで“思考停止”していた地域が、再び地域おこし協力隊の導入を契機に考え始めるということである。
地域おこし協力隊はあくまで地域課題を解決するためのツールである。
地域の最大の敵である“思考停止”状態を突破できるという点で、このツールの存在意義は非常に大きいと言える。
地域課題を前提にツールとして地域おこし協力隊にたどり着くプロセスが理想ではあるが、もともとそうした前提が無い地域においても、導入に際して、1度しっかりと立ち止まって「何のために導入するのか?」を考えていただきたい。
そうすることで、地域おこし協力隊が持つ最大のメリットの恩恵を受けられることになるのだ。
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